森見登美彦さんの小説おすすめ6選!独特の世界観にハマる名作を紹介
森見登美彦さんの小説は、独特の言い回し、クセの強い登場人物、ちょっと不思議な世界観が魅力です。
普通の青春小説かと思って読み始めたら、気づけば奇妙な世界に引きずり込まれている。そんな作品が多い作家さんです。
京都の街を舞台にした作品も多く、大学生のだらしなさ、恋の空回り、妙なサークル活動、現実と幻想が混ざったような空気感がたまりません。
真面目なのかふざけているのか分からない文章なのに、なぜか妙に心に残る。森見作品、クセが強いのに読後感がいいんですよね。ラーメンでいうと、最初びっくりするけどまた食べたくなるタイプです。
今回は、森見登美彦さんの小説の中から、特におすすめしやすい5作品を紹介します。
初めて読む人でも入りやすい作品から、森見ワールドの濃さをしっかり味わえる作品まで選んでいるので、気になる一冊を探してみてください。
森見登美彦さんの小説でお勧め作品6選
夜は短し歩けよ乙女
森見登美彦さんの代表作として、まず読んでほしいのが『夜は短し歩けよ乙女』です。
京都を舞台に、天真爛漫な「黒髪の乙女」と、彼女に恋する「先輩」のすれ違いまくる一夜の物語が描かれます。
恋愛小説ではあるのですが、普通の胸きゅんラブストーリーを想像して読むと、たぶん最初から置いていかれます。古本市、学園祭、謎の酒場、変な人たち。京都の夜、クセ強すぎです。
この作品の魅力は、なんといっても言葉のリズムと不思議な高揚感です。
現実の京都を歩いているはずなのに、どこか夢の中にいるような雰囲気があり、読んでいるうちにどんどん物語のテンションに巻き込まれていきます。
森見作品らしいユーモア、恋の空回り、奇妙な人物たちがバランスよく詰まっているので、初めて森見登美彦さんの小説を読む人にもおすすめしやすい一冊です。
読み終わるころには、京都の夜をふらふら歩きたくなるかもしれません。危ないです。たぶん古本市も探します。
太陽の塔
こちらは森見登美彦のデビュー作であり、日本ファンタジーノベル大賞の審査員をあっと驚かせた作品です。
実はこの小説、有名な『夜は短し歩けよ乙女』より前に書かれた『夜は短し歩けよ乙女』よりの後の物語。
主人公はストーカー!?と思わせるような、すれすれ、ギリギリの非常に際どい問題作と言っていいでしょう。
一人称なので主人公の視点で読み進めていくのですが、彼が大真面目に語っていることを読者が客観的に見て、がんがんツッコミたくなるような二元的な読者視点を置く手法が素晴らしく、高く評価された作品です。
非常に独特です。しかも主人公はストーカーです。語り口が内田百閒や夏目漱石などの文豪に近い冗長な文章なので、はじめは難しいかなと思われる方もいるようです。
ですがいつの間にか森見登美彦の文体の中毒になっていた!という人も少なくないはず。
こちらの作品にも奇妙で愉快な個性的な登場人物がたくさん出てきます。どこがファンタジーなの?と思いますが、森見登美彦らしい、ふわっとした幻想文学のテイストが現れて、いつの間にか私たちの知らない京都の街へいざなわれていく作品です。
ペンギンハイウェイ
森見登美彦作品と言えば「へたれ大学生」!というくらい、むさ苦しく冴えない大学生が主人公である作品が多いんですよね。
ですがこの『ペンギンハイウェイ』はなんと小学生の少年が主人公。森見登美彦の新境地と言えるような、爽やかさのある物語です。
でもこの作品の主人公「アオヤマ君」は普通の小学生ではありません。小学校4年生なのに小難しいことばっかり考えていて、でも宇宙のこととかに興味のあるロマンあふれる大人少年です。
ある時、歯医者のお姉さんとオセロ友達になったアオヤマ少年。突然街にペンギンたちが現れて、お姉さんが不思議な力を持っていることが明らかになっていきます。
そんな謎の事件の数々を、学校の友達と追っていくこの物語。
ただの少年が主人公になっている普通の物語ではありません。読むと確実に、アオヤマ少年がとってもとっても好きになってしまうんですよね。
正直、不思議なストーリーよりもアオヤマ君の魅力と成長に心を奪われていく、そして読み終わるとお別れがちょっと寂しくなってしまうような素敵な作品なんです。
角川文庫の帯には、萩尾望都さんによる解説の一部が紹介されています。「最後のページを読んだとき、アオヤマ君とこの本を抱きしめたくなる」ペンギンたちの不思議も気になりますが、アオヤマ君とお姉さんの優しい絆にも注目です。
恋文の技術
最近、本を読んで笑いましたか?
本当に読書をしながらふふって笑いたい、と思う人にはとにかく森見登美彦の『恋文の技術』をおすすめします。
笑えると言われている小説をいくつも読んできましたが、漫画を読むようにこんなにぷっと吹き出してしまうような小説は初めてです。電車の中で読みたい方は、ちょっと注意が必要ですね。
ですがこの小説、手紙で出来ています。作者の森見登美彦さんが、夏目漱石の書簡集を読んでとても面白くて、そこからインスピレーションを得て書いた書簡集的な小説です。
最初から最後まで、全てが手紙だけで出来ているんです。でも内容はタイトルにあるような、甘酸っぱそうな恋文ではありません。
京都の大学院生から遠く飛ばされた学生が、寂しさまぎれだかなんだか、文通修行と称して友人達に手紙を飛ばしまくる。
本当は恋文を書きたいのに、しょうもない手紙をたくさん送ります。そして返事を書く仲間たちの愛と愛のムチの数々。
作中に森見登美彦自身が登場するところにも注目です。森見登美彦氏は、主人公にどんな手紙を送られ、送り返すのでしょうか。
そしてやはり森見作品は笑いだけでは終わりません。心を柔らかく撫でていくような、切なさ、優しさ、愛が閉じ込められていたことに、気付かされる作品です。
読後感の良さ。体験してみて下さい。
有頂天家族
森見登美彦作品の中でもシリーズ化してしまう程の人気を誇る『有頂天家族』
主人公はなんと狸です。まず設定が狸と天狗、人間がこの世を跋扈する世界。それが森見登美彦独特のお芝居の様な語り口調で目の前へ鮮やかに切り開かれて行きます。
主人公は狸といっても、普段は人間に化けていますから、私たちに近い存在として親近感がすごくわいてきます。でも一度狸に戻れば、作者からふわふわ、とか毛玉、とか表現されてしまう愛くるしい狸たち。
この狸の一家は三兄弟。そして母親。亡き父親。彼ら一族と、他の狸たち、そして天狗とのバトルが楽しめるなんとも面白おかしいドタバタ喜劇です。
愛おしくなるような個性的な登場人物(登場狸?登場天狗?)たちが大暴れします。
でも読後、『有頂天家族』の何よりも心に残る印象は、主人公狸たちの深い家族愛でしょう。心にじわっとした暖かさが広がる作品です。
四畳半神話大系
森見登美彦さんらしさをガッツリ味わいたいなら、『四畳半神話大系』も外せません。
主人公は、京都の大学に通う少しこじらせ気味の男子学生。
「もし別のサークルを選んでいたら、もっとバラ色の大学生活だったのでは?」という妄想を抱えながら、いくつもの“可能性の大学生活”が描かれていきます。
この作品の面白いところは、青春小説なのにキラキラだけではないところです。
むしろ、うまくいかない、空回りする、変な友人に振り回される、そしてまたこじらせる。
大学生活の理想と現実のズレが、かなりコミカルに描かれています。青春って爽やかなだけじゃないんですよね。だいたい部屋は散らかってます。
文章はクセがありますが、そのリズムに慣れると一気に森見ワールドへ引き込まれます。
同じようで少しずつ違う展開が繰り返される構成も楽しく、「この主人公、いつ学ぶんだ」とツッコミながら読めるのも魅力です。
大学生の迷走、後悔、妄想、そして少しの希望を味わいたい人におすすめの一冊です。
森見作品の“面倒くさいのに愛おしい青春”がぎゅっと詰まっています。
森見登美彦さんの小説は、クセになる不思議な読書体験が魅力
森見登美彦さんの小説は、普通の青春小説やファンタジーとは少し違います。
京都の街、こじらせた大学生、不思議な出来事、クセの強い登場人物たちが混ざり合い、気づけば独特の世界に引き込まれていきます。
『夜は短し歩けよ乙女』や『四畳半神話大系』では、森見作品らしい言葉のリズムや青春の空回りを楽しめます。
『ペンギン・ハイウェイ』は読みやすく、少し切ないSFとしてもおすすめです。
さらに『有頂天家族』では家族の温かさやにぎやかな京都の世界を味わえますし、『太陽の塔』では森見さんらしいこじらせ青春を濃いめに楽しめます。
最初は「なんだこの文章、クセ強いな」と思うかもしれません。
でも、読み進めるうちにそのクセがだんだん心地よくなってきます。
気づいたら、また別の森見作品を読みたくなっている。これはもう軽めの沼です。
少し変わった小説が読みたい人、京都を舞台にした物語が好きな人、普通の青春小説では物足りない人は、ぜひ気になる一冊から手に取ってみてください。
